法人が納める税金って種類が多いんだけど、何にどれくらい支払えばいいの?
節税とかできないかな?
法人は個人事業主とは、税金の種類が異なります。
この記事では、法人(会社)が納める税金の種類と節税対策について解説します。
法人が支払わなければならない税金の種類と
税金対策について解説しますね!
法人が納める税金は5つの種類があり、それぞれ種類によって税率が異なります。
さらに税率は頻繁に改定されるので、最新の情報をチェックするよう、心がけましょう。
※この記事の税率は2022年1月現在のものです。
- 法人が負担する税金の種類は5つ
- 中長期的な計画で節税対策ができる
法人が納める税金の種類は5つあります。
- 法人税
- 法人住民税
- 事業税
- 地方法人税
- 消費税
このうち、②の法人住民税や③の事業税は、所得や法人税の額によって変わります。
法人税額を抑えると、税の負担を軽減できます。
①〜⑤を、税金の種類ごとに順番に解説していきます。
①法人税
法人税は、法人の所得(税金計算上の利益)に対して課せられる国税のことです。
法人の所得は、その事業年度の「益金の額(売上高)」から「損金の額(売上原価、販売費、管理費など」を差し引いて算出されます。
資本金が1億円以下の中小法人の場合、法人税の税率は所得に応じて2段階に分けられます。
所得金額 | 税率 |
---|---|
年間800万円以下の部分 | 15% |
年間800万円を超える部分 | 19%(平成31年4月1日以後に開始する年度は23.2%) |
会社は、事業年度の終了から2カ月以内に法人税や消費税の確定申告をし、税金を納付する必要があります。
法人税は個人事業主が納める所得税よりも税率が穏やかですが、期限内に納税できないと付帯税(延滞税・利子税・不納付加算税)が科されます。
所得800万円の場合、法人税は15%だけど個人事業主の所得税は23%になります!
②法人住民税
法人も住民税を支払う必要があります。
法人住民税には市区町村税、道府県民税があり「自治体が住民にサービスを行うこと」を目的として課せられる税金です。
法人住民税は法人税割と均等割の2つから構成されており、法人は均等割額と法人税額を自ら計算して納付します。
「法人税割」=法人税額に応じて課税される
「均等割」=資本金と従業員数に応じて課税される(所得があるなし関係なし)
法人税は、法人の所得金額に応じて算定される税額なので法人税が安ければ安いほど、法人住民税も安くなります。
法人住民税の標準税率は1%ですが、地方公共団体は条例により2%の制限税率(標準税率を超えて課税する場合の上限)を設けることができます。
均等割は資本金と従業員人数に応じて5段階で算定され、寮や宿泊所などの施設を持つ法人は「均等割」を納付する必要があります。
資本金等の額 | 税額(年) |
---|---|
1,000万円以下の普通法人(および一般社団法人、一般財団法人、人格のない社団など) | 2万円 |
1,000万円超1億円以下の普通法人 | 5万円 |
1億円超 10億円以下の普通法人 | 13万円 |
10億円超 50億円以下の普通法人 | 54万円 |
50億円超 | 80万円 |
個人事業主で赤字になった場合には所得税や住民税の負担はありませんが、法人の場合は赤字であっても法人住民税は発生します。
③法人事業税
法人事業税は、事業を行うにあたって利用している公共サービス(消防や警察など)や公共施設(道路や港湾など)の経費の一部を負担する目的で課税される税金です。
法人の事業所得に対して地方自治体(都道府県)が課すため、納付先は地方自治体となります。
法人の所得が赤字の場合、納付する必要はありません。
資本金または出資金の額が1億円以下の中小法人に対しては、各事業年度の所得に応じて下記の3段階に分かれます。
年間所得 | 税率 |
400万円以下の部分 | 3.5% |
400万円超800万円以下の部分 | 5.3% |
800万円超の部分 | 7% |
平成28年に税制改正により導入された「企業版ふるさと納税」を利用すれば、寄附金の全額が損金に算入できるので、事業税と住民税を安くすることができます。
詳しくは国税庁の寄付金を支出したときをご覧ください。
④地方法人税
地方法人特別税は、「(会社が)事業を行うことによって得た所得に対して課税される税金」のことで、2014年の税制改正で創設されました。
これにより地方自治体に納めていた地方税の一部を、国に納税することになりました。
地方法人税の額は、令和元年10月1日以後に開始する課税事業年度については10.3%の税率を乗じた金額となります。
地方法人税額=課税標準法人税額×税率10.3%
⑤消費税
消費税は物やサービスの消費に課税される税金で、(売上で)受け取った消費税と(仕入や経費などで)支払った消費税の差額を計算し、納税します。
消費税は、前々事業年度(基準期間)の課税売上高に対して課されます。
設立したばかりの基準期間がない法人は、資本金額が1,000万円未満なら免税事業者になります!
また、特定期間の課税売上高が1,000万円以下、もしくは給与支払額が1,000万円以下の法人で基準期間がなく、資本金1,000万円未満の場合は2年目も免除されます。
ここまで法人が支払う5つの税金の種類について解説しました。
続いて所有物にかかる税金について解説します。
所有物にかかる税金
税金の対象になる所有物があれば、その所有物に対して税金がかかります。
ここでは固定資産税と自動車税について解説します。
固定資産税
土地や建物などを会社で保有している場合、固定資産に対して固定資産税が課せられます。
税率は基本的に1.4%と定められています。
固定資産税を納める額
土地 | 課税標準額 × 税率1.4% |
家屋 | 課税標準額 × 税率1.4% |
償却資産 | 課税標準額 × 税率1.4% |
自動車税
自動車重量税は、自動車の所有者に対して課税される都道府県税で、法人で自動車を所有している場合、自動車税が課せられます。
法人名義で自動車を購入した場合には、本体の購入費以外に、ガソリン代や車検費用などの維持費も全て経費として計上できます。
続いて法人ができる基本的な節税対策について解説します。
会社(法人)の基本的な節税対策
法人税など所得に課税される税金は、節税することが可能です。
基本的な節税対策を6つ紹介します。
- 青色申告をする
- 税制優遇制度を活用する
- 所得控除(特別償却・割増償却)を活用する
- 租税控除制度をを活用する
- 役員報酬を引き上げる
- 自宅を社宅にする
順番に具体的に解説します。
①青色申告をする
青色申告は、貸借対照表と損益計算書を作成し、複式帳簿の記帳と保存が義務づけられているため、白色申告に比べれば負担は大きいですが、税制上の優遇を受けることができます。
- 欠損金の繰越控除
- 所得控除
- 税額控除
会社を管轄している税務署に申請して、承認を受ければ青色申告での申告が可能となります。
青色申告は会社を管轄している税務署に申請すればOKです!
②税制優遇制度を活用する
中小企業にはさまざまな税制上の優遇があるので、活用できる制度は活用して節税しましょう。
- 損金不算入の交際費を中小法人特例で、損金にする(年800万円まで)
- 30万円未満の資産は取得費の全額をその年の経費にする(年300万円まで)
- 設備投資を行った場合は、特別償却又は税額控除の適用を受ける
❶損金不算入の交際費を中小法人特例で、損金にする(年800万円まで)
交際費は会計上は費用でも、税金の計算上は費用として計算できない(全額損金不算入)というのが現在の税務上の原則ですが、平成25年税制改正で「中小法人の交際費課税の特例が拡充」されました。
中小企業の交際費の支出による販売促進活動の強化を図り、景気回復を後押しするため、資本金額又は出資金額が1億円以下の法人が支出する800万円以下(事業年度1年未満の場合は月数按分)の交際費を全額損金算入できるようになりました。
800万円までの交際費は全額費用になりますが、社長の私的経費分は会社の費用にならず「役員賞与」とみなされるのでご注意を!
❷30万円未満の資産は全額経費にする(年300万円まで)
建物や車など取得価額が10万円以上の固定資産を購入した場合、本来はその全額を損金とすることはできません(使用期間が1年未満であれば全額損金可)
これは減価償却資産といい、その資産の使用可能年数(耐用年数)に応じて、毎年費用を計上しなくてはならないためです。
しかし、中小企業者の場合、令和4年3月31日までに取得して事業に用いた取得価額が30万円未満の減価償却資産については、一事業年度において最大で300万円まで全額を損金にできます。
❸設備投資を行った場合は、特別償却又は税額控除の適用を受ける
中小企業が設備投資をするときは「減価償却」で処理するので支払ったお金の一部ずつしか経費にできません。
そこで、国は中小企業者等を支援する観点から、設備投資を行った場合の税制優遇措置を設けました。
これにより企業は、設備投資費用を全部経費にできたり(即時償却)、設備投資額の何割かの税負担を安くしたり(税額控除)することが可能となりました。
中小企業者が設備投資を行った場合の税制優遇措置は、主に次の2つがあります。
それぞれ国税庁のサイトのリンクを貼ってあるので、内容をご確認ください。
自社がどの税制優遇制度を活用できるか、分かりにくいですよね。。
中小企業庁から出ている「上手に使おう!中小企業税制」46問46答を活用すれば、自社で活用できる税制優遇制度を探すことができますよ!
③所得控除(特別償却・割増償却による節税)を活用する
減価償却には「普通償却(法人税法で定める通常の減価償却)」と「特別償却(普通償却費に加えて余分にできる減価償却)」があり、特別償却は「初年度特別償却」と「割増償却」に分けられ、次のように計算されます。
特別償却限度額=取得価額×特別償却率
割増償却限度額=普通償却限度額×割増償却率
特別償却は初年度だけですが、割増償却は一定期間の適用があります。
特別償却も割増償却も、償却費が多くなるので、適用を受け、経費として計上することで節税できます。
「特別償却制度」は次に説明する「税額控除制度」とは重複適用できず、どちらかの選択適用となるのでご注意を!
④税額控除制度を活用する
税額控除制度とは、法人税額からさらに税額を控除することができる制度で、その分だけ納付する法人税額を安くすることができます。
税額控除額はその期の法人税額の20%を限度としていますが、限度を超過した分は翌事業年度に限り、繰越しすことができます。
リースの場合でもこの税制は使えるのかな?
一定の条件を満たすリース契約であれば「税額控除制度」は使えます。
- リース契約期間が5年以上かつ法定耐用年数以下であること
- 対象設備(1台または1基)ごとにリース費用の総額が定められていること
- リース料の支払いが均等額で定期的に支払われること
⑥役員報酬を引き上げる
法人の場合、自分への給与も役員報酬として経費に計上することができます。
この役員報酬を増やせば、会社に残る利益は少なくなり、法人税を減らすことができます。
ただし役員報酬を増やすと、その分個人所得が増え、所得税・住民税・社会保険料の額も増えます。
役員報酬によって法人と個人の所得を分散させることができますが、あくまでトータルで考える必要があります。
⑦自宅を社宅にして法人が費用負担する
個人事業主と法人役員は、同じ住宅に住んでいても課税上の取扱いは大きく異なります。
個人事業主の場合、自宅家賃は30〜50%ほどしか事業経費にすることができません。
しかし法人設立後、社宅制度を活用すれば自宅家賃の90%を経費にすることができます。
- 会社名義で社宅を契約し、会社が家賃を支払い、満額を損金として処理
- 実際の月額家賃10%を社長から徴収する
①の注意点として、借主が社長の場合、社宅として認められないので、すでに社長個人名義で契約している物件であれば、契約の変更を行います。
②で社長から家賃を徴収することで、所得税がかかりません。
これにより法人は月額家賃の90%を損金にすることができ、社長は源泉徴収不要で給料課税をゼロにできます。
例えば家賃10万円の社宅を借り上げた場合、どうなるの?
会社が家賃10万円の物件を社宅として借り上げて社長がそこに住みつつ、家賃を月額1万円(10%)を支払います。
会社は支払家賃10万円ー役員負担1万円=9万円=損金
社長は法定家賃10万円×10%ー役員負担1万円=0円=利益の価額
と言った取扱いになります。
ここまで節税の方法について解説してきました。
税理士さんに全て任せるのも良いのですが、税金関連の知識があれば、税理士さんが気づかない節税方法に気づくこともあります。
攻め(売り上げる)だけでなく、守り(税金対策)も強化して大切な会社を育てていきたいですね。
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